夕暮れの海を眺めながら、
ただ、呼吸をしていました。
波が寄せては返すように、
吸って、吐いて。
何も整えようとせず、
何も変えようとせず。
ただ今、
ここにある呼吸を感じる。
吸う息は、
外の世界を内へと集め、
吐く息は、
内なるものを外へとひらいていく。
集まり、
そして拡がる。
陰と陽のように。
空と大地のように。
宇宙と地球のように。
すべては、
静かな往復の中で成り立っている。
その往復は、
止まっているようでいて、
絶えず震えている。
この絶え間ない脈動。
サンスクリット語で「スパンダ(Spanda)」と呼ばれる、
純粋意識の震え。
脈打つものがなくてもなお在る、
本質的な生命の力。
大きな宇宙の鼓動も、
この胸の奥の鼓動も、
本当は同じ源から響いている。
私たちの呼吸もまた、
その大いなる生命のあらわれ。
60代になって、
ようやく分かってきたことがあります。
頑張って前に進むことよりも、
深く息をすること。
何かを掴むことよりも、
いま在ること。
呼吸は、
いつも私を
ちょうどよい場所へと戻してくれます。
ヨガは、その純粋な震えに静かに還る時間。
呼吸は、宇宙のリズム。

