60代の今、静かに教えられていること

60代の今、静かに教えられていること

先日、買い出しの途中で、
ふと胸の奥があたたかくなる瞬間がありました。
特別な出来事ではなく、
日常の、ごくありふれた時間の中でのことです。

必要なものを選び、
レジに並び、
袋を手にして帰る。
それだけの流れが、とても自然に感じられました。

何かを確認し合ったわけでも、
言葉を交わし続けたわけでもありません。
ただ、その時間に、
余計な力が入っていなかったこと。
それが、少し嬉しかったのです。

親であること。
誰かを支えること。
その役割を長く生きていると、
知らず知らずのうちに、
体は「構える」ことを覚えていきます。

親離れ、子離れ。
この言葉が、
切なさではなく、
静けさとして感じられるようになったのは、
変化を受け取ってきたからかもしれません。

体は、頭より先に知っています。
肩がゆるみ、
お腹がやわらぎ、
呼吸が深くなる。

ヨガを続けてきて、
今はっきりと感じていることがあります。
整えるとは、
何かを足すことではなく、
体に戻ること。

うまくできなくてもいい。
形が整っていなくてもいい。
呼吸がそこにあり、
今の感覚に触れられていれば、それでいい。

ヨガが当たり前になった今、
体は、必要なことだけを残し、
いらない力を、自然と手放していきます。

60代の今、
人生をどう生きるかよりも、
どこに戻るかを、
体が静かに教えてくれています。

日常の中で、
ふと力が抜ける瞬間。

そこに、
次の関係性も、
次の自分も、
もう、息づいています。

手放すとは、力を抜くことではない。
自分の中心に、戻ること。